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新春特別企画

2010年のTwitterクライアント&モバツイ

Twitterクライアントの進化

皆さま、あけましておめでとうございます。モバツイッターという日本の携帯電話向けにWebベースのTwitterクライアントを作っている藤川(えふしん / @fshin2000)と申します。

これまでTwitterクライアントは、Twitterユーザのニーズに合わせて発展してきました。最初は、TwitterのWebサイトでは使いにくかったメッセージの閲覧性や、日本語の送信、フォロワーの管理、発言のしやすさを改善したTwitterクライアントから始まり、その後、Retweetのしやすさやフォロワーの分類、リンクや画像の閲覧性や位置情報対応などTwiterの機能を拡張するクライアントが出てきました。

Twitterクライアントの差別化要素

現在の主なTwitterクライアントの差別化要素は以下に挙げられます。

  • Twitterの新しいapiへの追従、および追従速度
  • 特定のデバイス、プラットフォームへの最適化
  • ユーザのカテゴライズ、つぶやきの分類
  • 複数アカウントの切り替え
  • Twitter周辺の各種サービスに対応(検索や写真など)
  • ログを細かく見たいユーザ向けか、その時を楽しめればよいユーザ向けか。
  • ビジネス用途の管理機能(発言の承認など)
  • デザイン性、カスタマイズ性

最近のTwitter全体の傾向としてあるのが、特定のクライアントツールが強みとしていた特徴的な機能、たとえばRetweet送信機能や、フォロワーの分類機能、位置情報連携機能が、それぞれ、公式Retweet、List機能、ジオタギングなどの形でTwitterの基本機能に吸収され、コモディティ化していく流れがあります。

Twitterの標準機能となることで対応クライアントが増え、利用者のすそ野が広がる一方で、それらを強みとしていたクライアントの優位性は失われ、かつ、新規のTwitterクライアントが実装しなくてはいけない機能は増えていく一方です。

Twitterクライアントは一般的に高い機能性を求められる傾向にありますので、後追いで実装するには手間が増えてきて、気軽には作りにくくなってきました。もしかしたら、そろそろ一からフル機能を備えたTwitterクライアントの開発競争は落ち着くのかもしれません。

2010年のTwitterクライアント展望

ここからは願望になりますが、2010年のTwitterクライアントは、APIを全部実装したツイッターサイトのクローンでも既存ツールの代替製品でもなく、Twitterを拡張し、よりユーザが楽しく、ハッピーになれるクライアントツールやサービスが出てきてほしいと思っています。

そのヒントの1つとして、あくまでも個人的価値観でしかありませんが、私はTwitterクライアントに高機能性は必要ないのではないかと思っています。すべてのタイムラインのつぶやきが完璧に追える必要はありません。TwitterとRSSリーダーの最大の違いは、⁠今」が楽しいことが大事という一期一会的な見え方だったのではないでしょうか。

ユーザの増加に対応すべくList機能などの情報整理機能も出てきましたが、Twitterのメイン機能はあくまでも目の前に流れてくるつぶやきと、気軽に発言できる部分だと思いますので、高い機能性がTwitterの本質ではありません。

もっともっといかに楽しくつぶやきができる、つぶやきを見られるかという部分に力を注ぐ事例が増えても良いと思います。これは必ずしもTwitterクライアントに限らず、さまざまな企画やbotやソーシャルアプリでも良いと思います。

開発のキモは「Twitterのユーザが、いかに楽しくハッピーになるか?」

開発者はTwitterのユーザが、いかに楽しくハッピーになるか?という部分を一番大事にしてほしいと思っています。今までいろんな機能を提案してきて、つぶやきの文脈にうまく乗らない機能は利用率も低いということが見えていますので、Twitterで成功するためにもこの要素は必須だと思っています。

Twitterの強みとはなんだったのか

Twitterクライアントを語る上で、改めてTwitterの強みについて振り返ってみたいと思います。

私はTwitterをパーティ会場のメタファで捕らえています。

大きなパーティ会場には、いろんな人がいて、目の前にいる人と刹那的なやりとりをすることがあります。お互いが微妙な距離感にあって、なんとなく聞こえるように声をかけたら、周りの人が返事をしてくれるかもしれない、というシチュエーションです。

また、別の場所では、ある人たちが議論を始めています。その輪へ近づくことで話を聞くことができますし、突発的に起きた議論に誰ともなく参加することもできます。

大事なのは、自分がそこにいなければ話を聞くことはできません。人はそうやって流れゆく時間に身を任せ、さまざまな選択肢を取捨選択することで、人生を生きています。

Twitterは、このような状況を投影していると考えております。必ずしもタイムラインに流れるすべてのログを読む必要はありません。タイムラインとは川の流れみたいなものであり、たまたまその川に行ったときに流れてきたつぶやきとの出会いが重要なのだと思います。

「たった今」につぶやきができること

大事なのは、自分がTwitterにアクセスしたくなった「たった今」に、すぐにつぶやきができるか?ということと、どれだけのつぶやきとの出会いがあるか、だと思います。ゆえに、モバツイッターで一番大事にしているのは、⁠いつでもどこでもTwitterにアクセスできること」でした。携帯電話でアクセスできるように作るのは必然だったわけです。

Twitterでは、相手に読んでほしい重要な情報はrepliesとDMを使います。この二つに表示されるつぶやきについては、相手から読まれることを期待されているものです。

リアルタイムに流れていくタイムラインとは違って、リプライは非同期情報として取り扱われます。ユーザがバラバラにTwitterにアクセスしても、すれ違うことはなくメッセージを送られた側が確実に閲覧することができます。Twitterの良さは、この流れゆくタイムラインとリプライの絶妙なバランスにあると言えます。

さらにTwitterの魅力はそこにとどまらず、つぶやきをほぼリアルタイムに検索出来るようになったり、ハッシュタグと組み合わせて特定の文脈を捕捉できるようになったり、多くの人が注目する情報はReTweetとして再配信されたりと、どんどんつぶやきの活用方法が拡張されています。

Twitterが他のつぶやきサービスに対する優位性があるとすれば、世界中の優れたアイディアやサードパーティの開発者の手によって、つぶやきをより楽しめるように拡張が行われていくことでしょう。このオープン性と開発の流れが継続される限り、Twitterは常につぶやきサービスの先頭を走り続けることになります。

2010年のモバツイッター

モバツイッターは、ここまで説明してきたTwitterのメリットを生かす機能を提供していくことを想定しています。

よって今年はこれを作ります、あれを作りますというものではなく、原則としては流れを見ながら思いついた機能を追加していくことになります。そんな中で短期的に考えていることは、主要3キャリア向けのデザインリニューアル、Webアクセシビリティの向上を考えています。

また、モバツイッターのサーバは、Amazon EC2の環境で動いていますが、EC2ならではのリソース融通性を生かした機能も開発していきたいと思っています。

そして私事として、昨年まで勤めていた会社を退職し、⁠想創社」という社名で起業する準備を進めております。当面はモバツイッターの運営、開発に専念し、モバツイッターを中心として、Twitterを活かしたマーケティング活動のお手伝いができるようなビジネスをしていく予定です。

セミッター、スポルタァァァなども

その他に私が管理している、セミナー参加者や登壇者がTwitterを使って発言を共有するセミッターや、セミッターの派生でスポーツ観戦のつぶやきを共有するスポルタァァァについても、ビジネス化にチャレンジしていきたいと思っています。

2007年4月にモバツイッターを作り始めたときから、モバツイは今年いっぱいしか持たないよ、なんてことを常に言い続けて、気がつけば、もう3年も経とうとしています。Twitterは、シンプルな情報アーキテクチャが故に明確なメリットを説明しにくいため常に不安な存在ですが、同時に簡単にはユーザが他のサービスにスイッチしにくいサービスでもあります。私もここでできることがある限りは、Twitterのサードパーティとしてコミットしていこうと思っております。

ぜひとも、このサービスやアプリがあるからTwitterを使い続けるんだよ、とユーザの方に言っていただけるサービスを一緒に作っていきましょう。

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