「ピケティ格差解説」TV番組に出たら、出演者がみんな「所得トップ1%に入る年収」だった
トップ1%に入る年収はいくらか?
先週土曜日(21日)、面白い体験をした。その日は、たまたま2件、テレビとラジオの出演があった。ともに、格差問題で、ピケティ本に関する話だった。筆者が、ピケティ本の解説本(『【図解】ピケティ入門 たった21枚の図で『21世紀の資本』は読める! 』http://www.amazon.co.jp/dp/4860637402/)を書いているから、お呼びがあったのだろう。
テレビはBS朝日『Live Nippon』(18:54~20:52)でテーマは「景気回復は本当か?格差問題は?」、ラジオはJ-WAVE『Prime Facto』(21:00-24:00)でテーマは「もしアイドルがピケティを読んだら?」だった。
BS朝日では、最近の格差拡大を意味する以下の図がでてきた。
これをベースにして、トップ1%の人のシェアが最近拡大しているという話だ。実は、ピケティ本の各国の格差のデータは、上の図の引用元のWorld Top Incomes Database(http://topincomes.parisschoolofeconomics.eu/#Database:)からのモノが多い。
ピケティ本もデータ満載で面白い(2014年12月29日付け本コラム http://gendai.ismedia.jp/articles/-/41619)が、World Top Incomes Databaseも、各国の詳細なデータが満載でとても面白い。ただし、このサイトは学者向けであり、普通の人はアクセスしないだろう。
土曜日のBS朝日では、おそらく出演者どころか、番組関係者の誰もピケティ本をきちんと読んでいなかったようだ。
それにもかかわらず、上の図で、まあいいたいことをみんな言っていた。
時間が許せば、ピケティ本でのトップ所得のシェアというのは、トップ所得者の所得が国民所得に占める比率であること、例えば、トップ1%は20歳以上の人口の中で所得が上位1%に相当する個人だ、といいたかった。しかし、そうした時間はテレビでないので、日本でトップ1%とは年収いくらなのかについて、年収1300万円とだけ言った。
そうしたら、筆者の隣の女子アナがびっくりした。何か、スタジオ全体が「えー。ウソ」という感じで凍り付いたようだった。一緒に出演していた森永卓郎氏を含めて出演者すべて、さらにはスタジオの一部の人が自分はトップ1%だと認識したようだ。