公務員給与はあと30%近くカットできる
公務員の給料を巡って、様々なことが起きている。
たとえば、今国会で全会一致で可決された「国家公務員の配偶者同行休業に関する法律案」。公務員が配偶者の海外転勤に同行する場合、最長3年間の休業を認めるというもの。安倍総理が「3年育休」を謳っているだけに、「まずは官から」ということなのだろう。
来年には一時的に下げていた公務員給与が復活する。安倍総理が民間に「賃上げ」を要請しているから、公務員もちゃっかり賃上げするのか、あるいはこれも「まず官」という発想なのか。
一方で政府は、公務員給与を下げる策にも手を出すようだ。具体的には、高齢公務員や地方勤務の国家公務員の給与に手を付けるらしい。一体、公務員の給与を巡るこうした施策をどう考えたらいいのか。
政府の対応は基本的に、公務員の給与水準は「妥当」だから、その微調整をするという考えに基づいている。
たとえば現在、東日本大震災の復興財源を捻出するため、公務員給与は平均7・8%減額されている。しかし、これは2012年度から2年間限定の特例措置なので、来年4月から以前の水準に戻すのが当たり前ということになる。
しかし、来年4月からの消費税増税を決めたため、公務員の給与が上がる一方で、消費税増税はまずいということで、高齢公務員の給与を減らすという話が急浮上。結果、いかにもちぐはぐな施策になっている。
そもそも公務員の給与は民間と比較してどうなのかという根本的な問いに答えないと、民間から見て〝モヤモヤ感〟は拭い去れない。
ところが、民間給与との比較調査をするのが、公務員改革で抵抗勢力になっている人事院。人事院は、国家公務員がストライキをできないなど労働基本権の制約を受けているので、その代償措置として設けられている中立的かつ独立性の強い機関である。そのためなのであろうか。人事院の調査は公務員にとって都合のいいものになる傾向がある。
まず人事院の調査は、優良大企業に偏っている。事業所従業員数50人以上の企業を調査しているというが、調査数1万社のうち500人以上の企業は4000社程度、100~500人の企業は4000社程度、50~100人の企業は2000社程度となっている。