バリウムはまずいし胃カメラは苦しい。時間もないし・・・・・・となんだかんだ理由をつけて、検診を避けてきたあなたに朗報。数分の採血だけで、がんや脳梗塞までわかるようになってきているんです!
驚くような感度
「採血だけでいいというから、試しに受けてみたんです。でもまさか自分にポリープが見つかるとは思ってもいませんでした」
50代の会社員Aさんは、ある血液検査を受けたところ、「大腸がんのリスクが高い」との結果が出た。慌てて大腸内視鏡検査を受けると12mmのポリープが発見される。内視鏡で切除し、組織を調べると良性だったものの、診察した医師によると「放っておくとがんに変異した可能性が高かった」という。
自覚症状なく、病気が進行するケースは決して稀ではない。とくにがんの場合、進行しないと症状が出ないため、Aさんの場合、検査を受けていなかったら「手遅れ」の状態で初めて発見される可能性も充分にあっただろう。
がんを発見するためには、大腸がんなら便潜血検査、乳がんならマンモグラフィなど、部位ごとの検査が必要となり、手間も時間もかかる。そのため、検診から足が遠のいている人も多いのではないだろうか。
だが、日進月歩の医療の世界では、なんと「血の一滴」でがんをはじめとしたさまざまな病気が発見できるようになってきているという。もちろん、肝機能や血糖値、コレステロール値がわかるだけの検査ではない。MRIなど大掛かりな検査をしなければ正確な診断ができなかったがんや脳梗塞、そして専門医でも診断が困難とされていた精神疾患までもが、数分で終わる採血だけでわかるようになっているのだ。そんな夢のような新世代の血液検査の数々を紹介していこう。
まずは冒頭のAさんも受けたがんについて。世界初のこの血液検査を取り入れている三井記念病院の総合健診センター所長・山門實医師に訊いた。
「1回5ccの採血だけで、胃がん・肺がん・大腸がん・前立腺がん・乳がん・婦人科がん(子宮及び卵巣)のリスクが、現在どれだけあるかを同時に判定することができるんです。この検査を『アミノインデックス がんリスクスクリーニング』(AICS)というのですが、かなり早期のがんでも発見できる可能性があります」
われわれの血液中には20種類のアミノ酸が含まれている。それらアミノ酸の濃度が、健康時の濃度とどのように違うかを解析することで、現在の健康状態や病気の可能性を探る。
この技術「アミノインデックス」を用いたがん検査の「感度」は、驚くほど高いと山門医師は力説する。
「感度としては、便潜血やX線検査といった従来のがん検診の10倍ほどの効果があると考えています」