Twitter apiとはなんだったのか?

前から書きたいネタだったが、TwitPicが閉鎖されるニュースをぼーっと見ていて、俄然書きたくなったものの、ちゃんと書くのは大変なので、思うがままに適当に書いてみる。

Twitter apiとは、Twitterというビジョンに賛同した人が得られた楽園

要するに「Twitterというビジョン」に賛同した人が、「いいもの」を作れば注目されることができる、という面白い現象だった。
エコシステムってそういうことだと思うけどね。

昔は、サードパーティを活用した戦略だったに違いない。

国内だとTwitterにモバツイとTweenへのリンクを貼ってもらっていたわけで。
あとツイートからサードパーティへのリンクが貼られていたのも特徴的でしたね。

調子に乗りすぎたサードパーティ

サードパーティは、本体を超えてはいけないんです。蛇口を止められたら終わりなんですから。
Twitterにとってのサードパーティに対するリスク兼弱みは、「ユーザーの支持を持っている」ということに他ならなかったわけです。そこを逆手に取って脅しにかかった会社もあるとかないとか。

api戦略がTwitterにとってのリスクであるとはっきり意識されるに至ったきっかけが、Twitterサードパーティによるアドネットワークの試みだったんでしょうかね。つまり中抜きという奴ですね。他にもいろいろあったみたいですが(そこは中の人じゃないとわからない)

Twitterの本を読むと、いろいろわかる

結局、一言で「Twitter」と言ってもトップがころころ変わるし、株主もどんどん増えていった。
そういう中で、いろんな意思決定があって、考え方が変わっていったのは間違いない。

本に書いてることなんて、いろいろ後付けだとは思うんですが、そこはあえて無視して読む限り、モバイル戦略も最初からちゃんと存在してた。社内体制やスケーラビリティを追いかける方で余裕がなかったけだけ。モバツイが存在できたのは奇跡だったんだなぁと本を読んで思いました。

「140文字を守ること」これで「短文投稿サイト」としては、誰にも負けなくなった

サービスを「シンプルに保つ」、これほど難しいものはありません。機能は技術者がコードを書けばいくらでも増やせる。これはコードが書ける人がいれば簡単にできること。でも機能を減らしたり、シンプルに保つというのは、それとは違うスキルが必要です。一言で言えば「サービスデザイン力」だと思っています。

何かを足せばぱっと見の利便性は向上しますが、それと同時に確実に何かが失われているわけです、それを見極めて決断する力、ですね。論理的なものではなくて感情的なものであり、アートに近い。だからビジネスの責任者しかできない、というもの。その下地にはビジョンやサービスに対する哲学が不可欠です。というかそれがないと守れない。

Facebookとの戦いの中で、この140文字を増やす圧力というのは半端ないものだったんじゃないでしょうかね。よく守り切りました。

と同時に、140文字からほぼ拡張しないと決めた瞬間に、サードパーティとしてのサービス拡張性もまた制限された、とも言えます。
逆に言うと、そういう拡張の夢が期待できるサービスがTwitterだったわけですよね。

ただねー。愚痴になっちゃうけど、メタ情報と、リンクの自由度をあげてくれれば、ソーシャルインフラの夢もあったんですけどね。
メタ情報でM2Mの情報をセットで伝送するんです。Tweetに書いてある情報は人間向けの自然文。ツイートの上に付加サービスを載せることができる。

最近、LINEビジネスコネクトでサービスを提供する例がありますが、多分、あれと全く同じことを僕がモバツイでやりたかったことでした。

ですので、僕は似たようなことをBASEというビジネスインフラで目指したいと思います。どういうレイヤーで支えるかはどうかはこれからに期待してますが、水路に水が流れるように、お金とモノやサービスが流れるようなインフラに関わるというのが、ネットビジネスにおける夢なんだろうなぁと思ってます。(あ、最近、BASEの取締役に就任しました。よろしくお願いいたします)

最近聞いた、タイムラインを時系列順にしなくなる、という部分、あれ!?という気持ち半分、期待半分

間違いなく最初からあったTwitterの良いところでもあり悪いところでもあるところで、タイムラインが時系列順であることが挙げられます。
しかし、それは同時に、「地震が起きればTwitterを見れば良い」というリアルタイムなWebの入り口としても確固たるブランドも確保できてました。

そりゃ時系列順じゃない方がいい人もいるでしょうが、それはTwitterがやることなのかは、すごく謎です。

フィルタリングではなく、時系列順を守ってくれることで、弱小サードパーティにも陽の目を得られるわけで、それが例えば「テレビ番組連動のツイート」だったりするわけです。Facebookのエッジランクのように関係性を元にタイムラインが構築されたら、「今すぐ何かをやってる人」のツイートが見えなくなる可能性があるわけです。

そこを優先的に表示するために広告費出せよってことなんでしょうかね。

apiを有料化してくれるなら、喜んで乗ったのに

有料化とはすなわち、お金でapi利用に対する優先権を買うということですね。
利益が出るなら有料化されても、全然問題ないわけです。むしろ他社に対する優先権が得られるなら、喜んでお金払います。

彼らはfirehorseのログ販売以外には、それをやらなかった。タダより高いものはないと言葉はありますが、それ以前に、Twitter api周りに経済的なエコシステムがなかった、というのが問題だったとも言えます。

もしもっと早くTweet広告ビジネスが立ち上がってからなら、adsenseのようにサードパーティと利害関係が一致する仕組みができたかもしれません。タイミングがあわなかったのと、それならサードパーティを駆逐して、広告は自社クライアントで独占した方がよくね?というモードになったのが、悲しい流れだったと言えます。今後、変わって欲しいんだけど。

ネットにおけるサードパーティビジネスの考え方

拙著にも書いてたことだが、プラットフォームにおけるサードパーティは、生殺与奪を握られるからリスクが高い、というのは評論家視点で見るとその通りなのだけど、見方を変えるとサービスに対するビジョンやフィロソフィーを自分で考える力がない人でも、それに成功したプラットフォームに乗ることで、人から注目される手段であることは間違いないわけで、そう考えると祭りに乗るのは悪くないと思いますよ。

なにより祭りに参加するのは楽しいです。だから僕は、Twitterには感謝しかないです。

それに滅多にああいうムーブメントは起きないですよね。ある種、奇跡的だったとも言えます。その裏ではTwitter社自身の内部の問題などがあったと書いてあります。つまり社内のスピードがモタモタしてるうちに、足りない部分をサードパーティが埋めていたということでしょう。その結果として、もう「穴を埋めるサービスはいらない」と言わしめたのは、彼ら自身が成長したからに他ならないわけです。

今後、他のプラットフォームで似たようなムーブメントが出てきた時にどう捉えるべきかと言うと、1つ思うのはプラットフォームを提供するベンチャーは自分たち自身が成長しなくてはいけないという理由で、サードパーティに配慮しすぎたらダメだと思うんです。もちろん理想はサードパーティをM&Aしてくれたら嬉しいんですが、少なくとも王道の進化については利害関係に捕らわれずに突き進んで行くのは必要です。サードパーティ側は、そういうことを見据えた上で自社の戦略を立てていく必要はあるのだと思ってます。というか、そういうのはサードパーティ側もある程度は知っててやってたりします。

だから奇跡的に新しいエコシステムが発生したら、また同じことが起こるだろうなぁとは思っています。Facebookも最近、いろいろ変わってきましたよね。

最後に

TwitPicが終わるのは寂しいですね。モバツイも最初は、はてなフォトライフに写真を投稿する機能をつけていて(全部、モバツイ専用はてなアカウントを4つ取って並列に投げてたんですが)、でも投稿量が増えると500エラーが頻発して大変で、その頃、でてきたのがTwitPicでした。でも、TwitPicもずっとスケーラビリティの問題に悩んでいて、少し微妙な感覚はあったけどTwitterに割り切った写真サービスというのが面白かったのは事実。他社のライバル写真サービスも蹴落として、順調に育っていった一社だったんですけどね。彼らも少し力を持ちすぎましたかね。お疲れ様でした。

参考文献:
TwitterのJack Dorsey会長曰く:単純なものを作ることは実に複雑である – TechCrunch

感情だけではビジネスなんぞできやしない:TwitterのUberMedia締め出しに驚くべきではない – TechCrunch

もう企業は公式アプリを作らなくてOK? LINE、企業向けにAPIを提供へ──「LINE ビジネスコネクト」スタート | アプリオ

画像投稿アプリ「Twitpic」が9月25日にサービス終了へ Twitterとの商標問題で – ITmedia ニュース

「いいね!」インセンティブ禁止で影響 「Crocosマーケティング」Facebook関連サービス終了 – ITmedia ニュース

Amazon.co.jp: 100万人から教わったウェブサービスの極意―「モバツイ」開発1268日の知恵と視点 電子書籍: 藤川真一: Kindleストア

Twitter、タイムラインをFacebook風にフィルタリングか 逆時系列ではなくなる可能性 | アプリオ

Amazon.co.jp: ツイッター創業物語 金と権力、友情、そして裏切り: ニック・ビルトン, 伏見 威蕃: 本

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