冷え切った心にお酒で火を灯そう。酩酊女子とともに。
酒への情熱が高まるこの時期――そんな中、お酒に酔った女子とともに日本酒を紹介する書籍『酩酊女子 〜日本酒酩酊ガールズ〜』(ワニブックス)が1月25日に発売される。
「酩酊女子」の仕掛け人である人気イラストレーター・漫画家のアザミユウコさんと、作中「むむ先生」として登場する日本酒ライター・料理漫画研究家・醤油研究家の杉村啓さんにお話を伺った。
―― 最初に『酩酊女子』を出版されるまでのいきさつを。アザミさんが同人誌を作り始められたのはどういったことがきっかけだったんですか?
アザミ もともと、自分の作品を発表する目的で漫画を中心とした同人誌を10年以上作っていました。ジャンルも現在の「飲食」ではなく、まったく別の創作漫画で。
そんな中、実家が酒屋を営んでいる友達に誘われ、「新潟酒の陣」(新潟酒の陣公式サイト)というイベントにたまたま参加しまして、「あ、日本酒美味しいな」と。
だけど、周りを見渡してもそれほど日本酒を飲む人はいなかったんですね。わたし、実家が新潟で、実家は普通に日本酒がある家でしたので、実家では飲むけど、ほかで一緒に飲む人はいなくて……という感じでした。こんなに美味しいものがあるなら、それを気軽に紹介できる本を作れないだろうか……というところから『日本酒酩酊ガールズ【新潟編】』という同人誌が産まれました。それを作ってしばらくして杉村さんと出会います。きっかけは――
杉村 確か初対面は「日本酒酩酊ガールズ【新潟編】」が出た後、吉祥寺の「にほん酒や」というお店だったと思います。当時アザミさんはまだご結婚されていなかったのですが、もともと旦那さんと僕とが友達で。にほん酒やさんでイベントがあったとき、お二人でいらしていたのでごあいさつし、3人でにほん酒やさんの外の席で飲んだのが最初だったはず(笑)
そのときは、2011年の冬コミで出すことになる『醤油手帖』という醤油の同人誌をまだ作っていなかった記憶があるので、その前だったと思います。
今は飲食系でもそういうスタイルの同人誌が結構出ているんですが、当時は女の子のイラスト&ショートストーリーと飲食を組み合わせた同人誌がほとんどなくて。そもそも日本酒同人誌がほとんどなく、日本酒というジャンルで女の子のイラストというのもなかったと思います。すごい同人誌だと、コミケの後で紹介されていた記事を見た後にすぐ買ったのを覚えています。
アザミ そのころはまだ、こういうイラストががっつりでたタイプの飲食本が少なかったんですよね。いまは本当にたくさん見かけるようになりましたが。
―― 飲食同人誌、日本酒同人誌の先駆けということですね。
アザミ そうですね。たぶん。もともと飲食系同人誌はありましたが、そこにイラストやストーリーを絡めるのは初めて、みたいな感じだったようです。
―― その「酩酊女子」ですが、「日本酒女子」ではなく「酩酊女子」というテーマは独特で素敵です。どういった発想で生み出されたタイトルなんですか?
アザミ 1つは「語呂が良かった」。わたしは同人誌を作るときによくタイトルから決めたりするので、その流れで出てきた言葉ですね。「なぜ『日本酒女子』じゃないの?」というところで言うと、「酔っぱらった女の子はかわいい」というのがこの本の主軸だからかな、と思っています。
―― 「美味しい日本酒で酔っ払った女の子」が重要だと。
アザミ そうですね。日本酒を知ってもらいたいという気持ちもありますが、それ以上に酔っぱらった女の子を愛でよう! というのが大きいです。あわよくば日本酒も一緒に愛でて、その娘と一緒に日本酒飲んでね! という気持ちで同人誌を作っていました。だから、酩酊女子制作委員会の本は、日本酒紹介本ではなく、「酩酊女子と日本酒を愛でる本」と考えています。
―― なるほど。わたしは酩酊するとでろんでろんになってしまうんですけど……。これも酩酊女子と呼べますか……?
杉村 お酒に酔って上気すると色っぽくていいですよね。まあたいてい僕の方が先に酔っ払うので、酩酊女子を愛でるころには日本酒でこっちもよく分からなくなっているのは内緒です(笑)。
アザミ 普段、見せない部分がちらっと見えたりするところがわたしは好きです。リラックスしたときにだけ見えるその子の魅力的な。普段は冷たそうなのに、飲むと柔らかくなって感情が表に出てきたりとか。
杉村 料理漫画の最近のトレンドにも通じるんですが、美味しいものを食べて幸せそうにしている女の子は、かわいいんですよ。
アザミ そうそう、幸せそうなのもいいですよね。おいしいもの食べて飲んで、難しい顔してる人ってあんまりいないですし。料理に日本酒を入れるとおいしくなるように、女の子に日本酒を入れても美味しくなるんですよ……!あっ、妄想がだだ漏れました(笑)
―― 素敵な回答ありがとうございます(笑)。料理やお酒で女の子が気軽に幸せになってくれる、幸せそうにしてくれる、というのが重要なんですね。日本酒も美味しい、女の子も幸せそう、と一石二鳥であると。
アザミ そうです。一石二鳥、これ大事です。女の子もおいしくてお酒もおいしいんです。みんな幸せなのです。
杉村 みんな幸せは大事ですね!
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