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ドコモ回線で身分証無しで匿名で通話・インターネット接続する方法

日本では、『携帯電話不正利用防止法』という法律が施行されており、日本国内で携帯電話会社や代理店などから通信可能な携帯電話や SIM カードを購入する際には必ず身分証明書を提示するなどして、氏名や住所を明らかにしなければなりません。これは、仮に誰か悪い人が携帯電話を用いて電話をかけたり、インターネットに接続してパケット通信をしたりして何らかの犯罪 (たとえば脅迫など) を行った場合に、通信記録から身元を判別してその悪い人を捕まえるためにある仕組みだと思います。昔は日本でも匿名で購入できるプリペイド携帯電話が販売されていましたが、現在は販売されていません。


日本以外のほとんどの国でも、携帯電話を契約する場合には身分証明書が必要です。プリペイド携帯またはプリペイド SIM カードを匿名の人に対して販売している国もありますが、その SIM カードを国際ローミングで使用する (たとえば、SIM カードを日本に持ってきて使用する) 場合には、元の国の SIM を発行している携帯電話会社に身分証明書を提示するなどして特別に利用可能にする設定を行う必要があるルールになっている国がほとんどです。


しかし、香港で販売されているプリペイド SIM カードには、匿名で購入でき、かつ、標準状態で海外ローミングで使用することができるようになっているものがあることがわかりました。
以下の「HSDPA Broadband Access Rechargeable SIM」という「3 International」社の販売している製品がそれです。



この SIM カードは、日本ではドコモの FOMA などでサービスが提供されている 3G+ (14.0Mbps) 対応のデータ通信端末や携帯電話端末に挿入することで使用できるプリペイド SIM カードです。以下のような香港の街中で、ほとんどどこにでもあるコンビニエンスストア新聞販売店などで購入できます。



この SIM カードを購入する際には、身分証明書の提示は不要であり、現金を支払うだけで簡単に入手することができます。


このように匿名で国際ローミングが可能な非常に多機能な契約の SIM カードを購入することができるということは日本における携帯電話不正利用防止法などによる規制の事情を考えると信じにくいことですが、香港では昔から現在に至るまで携帯電話は SIM 無しで購入し、通信契約は使い捨てのプリペイド SIM を用いて使用するということが当たり前のようであり、特に不自然なことではないようです。


SIM カードのパッケージを開けると、取扱説明書と共に、以下のような SIM カード本体が入っています。以下の写真ではわかりにくいのですが、この SIM カードは大変優れており、あらかじめ刻んである溝の付近を指で強く押すだけで、iPhoneiPad などに挿入することができる microSIM (小型 SIM) のサイズに切り取ることもできます (SIM カッターやハサミなどの工具が不要です)。



この SIM カードにはあらかじめ 68 香港ドル (約 680 円) などの金額がシャージされており、金額の追加チャージは以下のようなリチャージカードを、SIM カードと同様に店頭で購入すればいつでも可能です。リチャージカードの購入も、やはり身分証明書は必要ありません。
リチャージは SIM カードを挿した携帯電話本体から特別な番号にダイヤルすれば瞬時に可能です。その他、クレジットカードを用いたインターネット経由のリチャージも可能です (もっとも、この場合は匿名でリチャージを行うことはできません)。



この SIM カードは、特別な手続きをしなくても、国際ローミングで利用することができます。日本では、NTT ドコモのネットワークに接続することで利用できます。日本の他、このページ に記載されているような多数の国でローミング利用できます。
ローミング利用においては、通話だけではなく、パケット通信、つまり APN を指定してインターネットにアクセスする通信も可能です。この場合のパケット通信料は、『Data Roaming Daily Pass』というオプションを有効にすれば、1 日あたり最大 168 香港ドル (約 1,680 円) で使い放題になります。NTT ドコモの海外パケホーダイ と全く同一の概念のサービスですが、ドコモ海外パケホーダイは 1 日あたり 2,980 円も取られるため、ドコモと比べると 4 割以上も安価です。したがって、日本人が米国やヨーロッパなどに旅行する際も、この香港の SIM カードを持っていれば、NTT ドコモの海外パケホーダイを使わずに海外でも現地 SIM を購入せずに安価にパケット通信が可能です。


この SIM カードを日本に持って帰り、SIM フリーの 3G 端末 (日本で認定を受けており利用可能なもの) に挿入してネットワークサーチした結果の画面は、以下のとおりです。



このように、日本で電源を入れると、日本の通信事業者である「NTT DoCoMo」と「SoftBank」に接続することができます。上記の写真は茨城県で撮影したものですが、なぜか「NTT DoCoMo Kansai 3G」と表示されています。しかし接続は問題なくできます。SoftBank Mobile にも接続できますが、この場合はパケット通信が『Data Roaming Daily Pass』の対象とならず、従量制となってしまいます (なお、プリペイド方式ですので、間違えて従量制で大量に通信してしまっても、チャージ金額が 0 になると同時に自動的に切断されますので、お金がたくさんかかってしまう心配はありません)。


日本でデータ通信を試してみました。APN として『ipc.three.com.hk』を指定します。ドコモのように、ISP 契約が携帯電話契約とは別になっているというケチくさいようなことはありません。香港 3 社の APN は無料で使用できます。



APN を正しく設定し、『Data Roaming Daily Pass』を有効にすれば、以下の写真のようにインターネットにアクセスできます。この写真はスマートフォンのブラウザを起動して撮影したものですが、もちろんスマートフォンが対応していればテザリングできますし、3G / HSDPA に対応している USB 型のデータ通信装置や無線 LAN テザリング装置などでも使用できます。前述したとおり、SIM、microSIM のいずれのサイズにもなりますので、どのような端末でも使用できます。



日本にこの SIM を持って帰ってきて使用する場合、ドコモの携帯電話ネットワークに接続してローミングする場合でも、接続先 APN として『ipc.three.com.hk』を指定する必要があります。つまり、インターネットに出るためのゲートウェイはドコモの mopera などではなく、香港の 3 社の設置している装置を通ります。ドコモと香港の 3 社との間には専用線が引かれており、通信パケットは一旦その専用線を経由して香港にある 3 社のデータセンターへ行き、そこのゲートウェイを経由してインターネットに出るという訳です。
(これは日本のドコモの FOMA カードを中国などの海外に持って行って通信する際に、一旦日本のドコモの mopera ゲートウェイを経由してインターネットに出るようになっているのと同じ仕組みです。)


実際にドコモ経由でローミングしてインターネットにアクセスし、自分の IP アドレスを表示した結果が、以下の写真です。このように、日本の IP アドレスではなく、香港の IP アドレスとなっています。
なお、端末側にも直接グローバル IP アドレスが割り当てられていることも確認しました。グローバル IP アドレスですので、P2P ソフトウェアやテレビ電話ソフトウェアなどが快適に動作します。サーバーを立てることもできるかも知れません。昔懐かしの、深夜に立ち上がる FTP による自作著作物のファイル交換サーバーなどを立てている人もいるかも知れません。



パケット通信だけではなく、もちろん音声通話も可能です。ただしローミングですので料金が 1 分 100 円くらいかかります。詳細はこちら。
日本の電話番号にかけてみた結果は、以下のとおりです。ナンバーディスプレイにも対応しており、日本の電話機には、+852 で始まる香港の国際電話識別番号を先頭に付けた SIM カードの電話番号が表示されます。



もちろん、日本の電話機からこの SIM を挿した電話機にも電話することができます。



このように、香港の SIM は匿名で購入することができ、日本の携帯電話ネットワークで快適に使用することができます。データ通信のほか、通話の発信・着信も自由に可能です。


日本で施行されている 『携帯電話不正利用防止法』 は、日本の事業者が発行している SIM カードは適用対象になりますが、海外の事業者が発行している SIM カードはこの法律の適用対象ではありません (総務省 Q&A 2−8 海外の事業者が発行しているSIMカードは、法の対象となりますか? を参照)。


したがって、日本国内において、何らかの正当な理由 (たとえば、自己のプライバシーを保持したままインターネットにアクセスしたり、電話をかけたりしたい、など) があり、匿名でインターネットにアクセス、または電話の発信・受信をしたい需要をお持ちの方は、上記の香港の 「HSDPA Broadband Access Rechargeable SIM」 を購入することにより、日本においてそういった通信・通話が簡単に可能になります。
なお、より確実にプライバシーを保持するためには、SIM カードを匿名で購入することだけではなく、通信・通話に使用する 3G 端末についても匿名で購入することをお勧めします。3G 端末は秋葉原などで簡単に購入することができます。「HSDPA Broadband Access Rechargeable SIM」も秋葉原で販売している店舗があるらしいですが、Amazon.co.jp でも販売している業者があるようです


匿名で通信・通話ができるからといって、それを不法な目的で利用するべきではないということは言うまでもありません。