おやすみプンプン
個人的には、なんでここにノミネートされてないのかなぁという神作品なのですが(無茶w)。
- 作者: 浅野いにお
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/01/30
- メディア: コミック
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浅野いにおを読むたびに、
漫画を描くひとでなくて良かった、と思ってしまう。
このように若くして凄まじい才能に、
きっとどう対処していいかわからなくなるだろうと思う。
1ページをめくるごとに息を呑み、
痛くて不安でざわざわするのに読むのが楽しくて先が気になって。
久しぶりにそんな体験をしている作品です。
非常に高い画力、魅惑的な人物描写(このひとの書く少女はエロすぎる)で、
描かれるのはごく「フツー」の少年、プンプンの人生と日常。
(姿形はどう見ても普通ではないのに作品中ではそれは言及されない)
小学生の冒険、中学生の恋愛、
軽快な少年マンガを描きながら。
少年の葛藤、少女の涙、
鮮やかな恋愛マンガを描きながら。
ふと目をやればそこら中で崩れていく世界。
すぐ足下にある汚泥。いたるところに散りばめられた絶望。
恋を知り、性に目覚め、
大人に翻弄され、少女に眩惑され、
「神様」と世界の欺瞞に晒され、
プンプンはすべてに流されて、時に反発し、また大きなうねりに呑まれる。
世界は、どうしても拭えない違和感を孕み、
僕らは否応なしにそれを受け入れる。
そのようにしかこの現実を生きる方法はなく。
融解寸前の危うさで、日常は進んでゆく。
シュルレアリスム。現実すぎるほどの現実。
伊坂幸太郎が評したように、
完璧な王道と、圧倒的な前衛が、同時にそこにあって。
作者自身も、のたうちながら作っていることが伝わってくる。
そして4巻もやっぱりやばかった。
テンションが落ちないのがすごいです。
短編集や虹ヶ原 ホログラフでもそうだけど、少年と中年と老人を、時間軸を廃した同一の存在として書くのが上手いと思う。
雄一おじさんが完全に主役を奪った4巻を経て、プンプンはいよいよ高校生へ。
5巻でやってくるのはきっと「初体験」だろうか。
うーん、見逃せない。。