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ある意味、ホームレスみたいなものですが、なにか? 単行本 – 2008/8/29


異色のエンターテインメント家族小説!
引きこもりの文也、アル中の母、不良の妹に加え、父は家出中。
そこに借金の返済を求め、ヤクザが家に居座るように。何故か次第に、一家は互いを見つめ合うようになっていく。
異色のエンターテインメント家族小説!

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 小学館 (2008/8/29)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2008/8/29
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 226ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4093862281
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4093862288

著者について

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藤井建司
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奈良市生まれ。

2008年に『ある意味、ホームレスみたいなものですが、なにか?』で小学館文庫小説賞優秀賞を受賞して小説家デビュー。

他の著書に『ショートホープ・ヴィレッジ』などがある。

最近、自著を電子書籍化し始めました。

今後も過去作や未発表作を電子化する予定です。

カスタマーレビュー

星5つ中3.7つ
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上位レビュー、対象国: 日本

  • 2014年8月27日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    設定はかなり奇抜です。
    父親が失踪し、母親は重度のアル中で、主人公は引きこもりに妹は派手で不良という崩壊家庭に、父の借金を取り立てに来たヤクザが居座ります。
    このヤクザがかなりディフォルメされていて、ところかまわず暴力をふるわ、徘徊する母親を縛るわムチャクチャし、我が物顔で家族に勝手な命令を下します。
    しかし、不思議なことに、彼の命令で少しずつ家族が動いていく。縛られた母は無理やり酒を取り上げられたことで、体からアルコールが抜けていく。父親の捜索を命じられた主人公は引きこもちから立ち直る。妹も無理やり家事をさせられることで、家族の一員としての居場所を見つけていく。
    失踪した父親ですが、ホームレスとなって発見されます。過去の趣味を活かして生計を立てている父親は、生きいきとしています。
    父親はなぜこの生活を選んだかには秘密があるのですが、物語の核心部分なので触れません。
    バラバラだった家族が、ヤクザの登場で、それぞれの居場所を見つけていく。そうした自分探しの物語だと思います。
    ライトノベルではありませんが、高校生前後にぴったりだと感じました。
    1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2010年12月3日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    ヤクザは怖い。
    以前、ぼったくりバーでビール1本4万円と言われ、キレて席を立ったら、まるでゾンビのように部屋の隅や階段から次々にヤクザが現れ、不気味だった。
    ヤクザの何が怖いってこちらと理屈がまったく違うことが怖い。暴力も怖いが、その暴力がどういうきっかけで出てくるのか、どうすれば収まるのか、見当もつかないのが不気味だ。
    ヤクザの理不尽さはだから天災、社会的なこちら側でどうにかなるレベルではなく、竜巻とか地割れとかに近い。そしてどうにもならない理不尽の前に人は正気を取り戻す。プリミティブな生きる力しか通用しないからだ。虚飾と甘えが剥がれ、生の自分だけが自分を生かせることを知る。
    しかしそれでもままならないから天災なのだ。生の自分は通用せず、泣きながら4万円を親に振り込んでもらうのが現実である。
    これはヤクザが家に入ることで甘えた家族が正気に戻る話だが、私は異物感のことを考えながら読んでいた。見知らぬ人間をいかに家族が受け入れるか。現実はこうはいかない。大抵、情けなく破綻する。ヒーローはいない。破壊された家庭には天災が立ち上がるきっかけになるが、普通の家庭は天災によって完璧に破壊される。
    ファンタジーが許される人生は少ない。だから小説が必要なのだ。
    大人のためのファンタジー、私は楽しんで読んだ。引っ越し当日にヤクザに囲まれたことを思い出しつつ、現実がこうならいいんだけどな、と思った。ま、厳しいね。
    2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2013年8月31日に日本でレビュー済み
    父親は、人生悩んだの!って感じにしているが、ただのマザコンじゃん
    ママのためだけに子ども作って、命もてあそんで、ろくな子育てもしないで
    ちょっと考えたら、借金のカタに娘が風呂に沈められるぐらい予想つくだろう
    男を繋ぎとめるためだけに子ども作る母親も気持ち悪い。なにが知的美人だ。結局ネグレクトじゃん

    「お父さんは可愛そうなのよ!我慢したのよ!あんたが父親のこと見なかったんでしょ!」って
    「父親として資格がないから、借金残して去っていくね。だって、ほら。僕、幸せになる資格ないから」って
    子どもたちが親を愛さなかったのは、親が子どもを愛さなかったからじゃん
    妹はヤクザに憧れを持つし、長男はこれからアル中の母親と不良な妹を支えていかないといけないし、母親はアル中治ったわけじゃないし
    なんでこれでチャンチャンなんだ

    最後、ヤクザをいい話風にまとめているところも気持ち悪い
    虫歯の痛さを紛らわせるために、腕の骨を折って「もう歯は痛くない!」って言っているような
    そんな気色の悪さだけが残る小説だった
    1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2008年11月25日に日本でレビュー済み
    第9回小学館文庫小説賞優秀賞受賞作品。
    大学1回生から引きこもりになって3年になる主人公比良山文也の家は、母はアル中、妹はヤンキー、父は仕事とバラバラだった。
    そんな家が父の失踪借金付きでヤクザである岩田が乗り込んできて、変化せざるを得ない状況になってくる。
    その変化はヤクザである岩田が加わることで、家族として機能していなかった比良山家が、あろうことか岩田を軸に家族になっていく。
    最初読み始めた時は、失踪した父と岩田が組んで家族再生を狙って偽りの失踪でもしたのかと思っていたが、本当の失踪だと分かるにつれ考えさせるものがある。
    自分の人生と、家族を含む人生を、同一視出来ない人が家族に居たとしたら。
    家族なのに縁を切らなければならない問題。
    読み終わると考えさせるものがある作品だが、全体の構成が少し安直なので感慨にふけるまではいかない。
    3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2013年2月6日に日本でレビュー済み
    父親が借金を残して失踪
    借金の取り立てにやってきたヤクザの岩田が家に居座ってしまう
    主人公の文也は岩田に命じられ、父親を探し続ける
    そのうち、母親と妹が岩田に心を開いてゆく
    やがて父親の秘められた過去と家族への想いが明らかになってくる

    突然やってきた、怪物のようなヤクザのおかげで崩壊していた家族が再生して行く
    そんな、ハッピーエンドで終わるんだろうな、ヤクザもホントはいい人で…
    と、軽い気持ちで読み進めていった

    が…

    母親と岩田との関係が発覚したところから、空気が変わってしまった

    結局、岩田は暴力で周囲を威圧し、取り立て相手の妻を犯す当たり前のヤクザにすぎなかった……

    エンディング、借金返済の目処は立つ
    これから彼らは再生してゆくのか?

    父親は失踪したまま
    母親は岩田の情婦
    妹は出会い系サイトのサクラのバイト その後、母親に飽きた岩田の情婦
    文也は引きこもる事も許されず、やがて人格崩壊
    居座り続ける岩田に支配され、完全に壊れてしまう家族…

    自分にはそんな、さらなる悲劇へのプロローグにしか思えなかった

    コメディーではなく、サスペンスでもない
    かといってハートフルという訳でもない
    ちょっと不思議な読後感の本だった
    1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2009年6月6日に日本でレビュー済み
    読み出したらやめられなくてあっという間に読了した小説でした。荒筋にも書かれていますが、引きこもりの文也(主人公)、アル中の母、不良の妹に加え、父は家出中、というどうしようもない状況が設定されています。そこへ借金取りのヤクザが家に侵入してきたという中で繰り広げられる騒ぎの中で家族というものの存在が問い直されていく過程が本書の骨格をなしています。

    書名の意味するところも少しずつ理解しながら、家出した父親の昔の姿やその本質部分が明るみになっていきます。小説ではありますが、知っているようで知らない家族の過去は、一般的に結構多くの家庭でもあることでしょうし、それに気がついていないだけなのかも知れません。

    お互いに向き合うこと、しっかりと関わりあうこと、お互いを尊重すること、そして思いやることなど、家族であれば当然のことや、家族だから必要なことの大切さを描いているように受け取りました。

    四の五の言っていられない状況が生まれ、暴力の恐怖からその状態から引きずり出されると「ひきこもり」もしてられなくなります。甘えが許されない状況が生みだす展開は読ませるものがありましたし、異色ではありますが、真っ当な状況への回帰につながります。

    物理的な「家」を守るための努力と、精神的なよりどころである「家族」の崩壊。「ホームレスみたいなもの」の意味を現代社会に問いかける筆者の狙いと気持ちが痛いほど伝わってくる小説でした。ルポライターをしている作者の最初の小説だそうですが、社会を見つめる眼の確かさが本書に表れています。
    6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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  • 2010年11月28日に日本でレビュー済み
    非常におもしろかった。作品のタイトルからして、思わずてのとりたくなり、とにかく魅力的な作品だといえる。
    実はベースの部分に、60年代、70年代に青春を送ったものたちへのオマージュがある。
    ひょんなことから、うちに入り込んだヤクザもんのせいで、引きこもりと不良少女にアル中の母親からなる、荒んだうちが変わっていく。
    このストーリーだけで十分に魅力的なのに、実は、ここに現れていない、大事な登場人物、父親、が意味を帯びてくる。
    いやはや、これは巧な佳作でした。
    第二作をさっそく読んでみましょう。
    2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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  • 2008年11月22日に日本でレビュー済み
    なかなか楽しめた。本書の舞台となるのは、もうすでに崩壊してしまっている家族の家。主人公はエリート街道まっしぐらで大学に入学した途端、引きこもりになってしまった比良山文
    也。母智恵子はキッチンドランカーでほとんど廃人状態だし、妹結美はグレて不良仲間とつるんでる。そして影の薄い父浩三は借金をつくって失踪してしまう。借金取立てのため、腐りきった家に突然闖入してくるヤクザ。圧倒的な暴力の匂いを発散させるこの岩田がやってきたところから家族の再生がはじまってゆく。いってみれば、よくありがちな展開なのかもしれない。堕落しきった家族が、異物の介入によって化学変化を起こしたように変わってゆくところなど、まさにドラマ的要素ではないか。だが、こういう展開はありうる話だと思う。あまりにも激しい暴力の前では人は無力にならざるを得ない。弛緩しきったいままでの日常が絶たれ、不本意ながらもそれを受け入れ生きる道を模索し、順応してゆく姿は哀れでもあるがそれが恒常化してしまえば、当たり前の日々となるのである。そんな風にして、この家族は再生してゆく。おそらく岩田の存在がなければ、この家族は悲惨な末路を辿ったことだろう。そして、注目すべきは失踪してしまった父の存在。引きこもりだった文也が、岩田怖さに嫌々家から追い出され、足で歩いて捜し出した父の本当の姿はある意味ショッキングだ。住む家があり家族という存在があったとしても、みな心が離れて会話を交わすこともなければ、お互い干渉しあうこともなくなってしまったら、それはホームレスと同じようなもの。家族がそういう風になってしまった根本の原因ともいえる父の存在が少し浮いてるようにも感じるが、それはご愛嬌。さらさらと読めてこれだけ愉しませてもらえれば、いうことなしではないだろうか。ラストなど、ヤクザが家にいるのもいいもんだなと思えてしまうから不思議ではないか。
    4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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