英語論文が読めない
こういうエントリが注目されていた。
司書として働く前にデータベース会社の業務の一環として英語抄録の和訳や校正も少ししていた私が英語論文の読解技術獲得について少し書いてみよう。
専門分野の知識と理解
論文を読むのには英語の能力もあればいいが、それ以上にその研究領域に関する知識、理解が必要だ。日本語でも専門外の文章を理解するのは難しい。
もし自分の研究分野の日本語論文を読んで、その研究で明らかになったことや、その研究領域での位置づけ、問題点といったものがよく分からない場合は英語論文よりもまずは日本語でその分野の理解を深め、知識を蓄えなければならない。
特にその領域の全体像・体系といったものを理解することが重要で、それが分かってくると論文の意義や問題点を掴みやすくなる。論文は単独で成り立っているのではなくその領域(あるいは関連した他の領域)の他の研究と結びついている。
特に以下の点は意識的に覚えると後々論文を読む助けになる。
・その分野で盛んな研究テーマ → 分野の理解を深める。また論文の目的と関わることが多い
・その分野でよく使われる研究手法・実験手法 → 論文の目的を明らかにする手段についての理解を深める
・その論文は過去の研究の何を引継ぎ/改善/検証しているか → 論文の目的や研究分野での位置づけを知る
・著名な研究者、研究機関、よく引用される論文 → 研究分野そのものの理解を深める
英語論文特有の表現
英語論文には専門用語だけでなく言い回し、表現も普通の文章とは違っていることが多い。論文特有の表現について学びたい場合には、日本の英語論文執筆者向けの本が参考になる。
英語論文執筆者向けの本の例:
- 作者: 藤野輝雄
- 出版社/メーカー: 研究社
- 発売日: 2012/03/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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増補改訂版 はじめての英語論文 引ける・使える パターン表現&文例集
- 作者: 和田朋子
- 出版社/メーカー: すばる舎
- 発売日: 2013/10/19
- メディア: 単行本
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また、抄録abstractは英語論文とはまた別のクセがあるので注意がいる。一人称は用いられず、be reported、be consideredといった表現で客観的に記述される。日本人で英語論文を書いている研究者でもこれがうまくできていない人はいる。
とは言え、実際に英語論文・英語抄録を書くわけではないから、こうした表現についての知識は突き詰めて考えなくとも何とかなることが多い。
自分にとって興味・関心ある研究があれば、英語でも読む気になるもので、まずは興味があるテーマや手法を探しながら数をこなしていくのが無難なところだと思う。
(2013-12-06追記)
英語論文のリーディング用の本もあるにはあるのだが、私は使ったことがない(仕事で内容をチェックしたことはある)
- 作者: 佐藤洋一
- 出版社/メーカー: アルク
- 発売日: 2007/01/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 作者: バウワース,オーウェンス,ハウス,David Bowers,David Owens,Allan House,丸井英二,檀原高
- 出版社/メーカー: 朝倉書店
- 発売日: 2005/12/01
- メディア: 単行本
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