なぜ全角ダッシュは欧文約物形状になったのか
- あさうすさん(実験る〜む)の「和文としてのダーシが変」を読んで、Adobe-Japan1フォントの全角ダッシュが和文約物形状ではなく欧文約物形状で表示される理由について考えてみた。このエントリでは、JIS X 0208の1区29点「ダッシュ(全角)」を「全角ダッシュ」と呼ぶこととする。
- 昔は、全角ダッシュの実装グリフは和文約物形状だった。今ではたいていの場合、欧文約物形状。どちらになるかは、「文字コードがUnicodeか否か」による。たとえば小塚明朝Pr6Nのような新しいフォントでも、Shift-JISアプリでは全角ダッシュは和文約物となる。また、(試していないけれど)CIDフォントでもUnicodeアプリでは全角ダッシュは欧文約物となるはず。
- Shift-JISとUnicodeでグリフが変わるのは、全角ダッシュだけではない。たとえば、セント記号について見てみよう。JIS X 0208は、1区81点「セント記号」の幅を規定していないが、MacJapaneseにおける実装は全角、対応するAdobe-Japan1のグリフも全角(CID+713)である(下図)。
- Unicodeには、2種類のセント記号(U+00A2 CENT SIGNとU+FFE0 FULLWIDTH CENT SIGN)がある。JIS X 0208:1997における1区81点の名前は「CENT SIGN」。つまり、U+00A2のほうと対応し(下図、青矢印)、Adobe-Japan1のグリフはプロポーショナル(CID+102)となる。
- 下図は、上の2つの図を一緒にして対応の「ねじれ」を示したもの。