あなたのプレゼン、何か大事な点が抜けてはいないだろうか。「プレゼンをもっと効果的に行いたい」――。究極のプレゼン改善方法は「自分撮り」である。
プレゼン資料のメッセージは明確だし、分かりやすいスライドもそろった。
印象的なエピソードもそろえたし、事例は具体的で、インパクトがある。
リハーサルはしっかりやったし、時間配分も申し分ない。
それであなたのプレゼンは完璧だろうか? いや、そうでないはずだ。何か大事な点が抜けている。それは何だろう?
それは、「視聴者の視点」だ。
誰もが、スライドの読み上げに終始するプレゼンや、抑揚がなく眠くなる話、先が読めすぎて眠くなるプレゼンを経験したことがあるに違いない。
「プレゼンをもっと効果的に行いたい」
「自分もスティーブ・ジョブズのような印象的なプレゼンがやりたい」
そう考えるあなたは「自分自身こそは、プレゼン技術の本も理解したし、用意周到にプレゼンの準備を行っているから大丈夫」と思っているだろう。もちろん、いろんな気をつける部分を理解し、実行すれば、マシになるかもしれない。
しかし、もっと良いのは、第三者からアドバイスをもらうことだ。誰かに見てもらう、その印象を教えてもらえば、自分で気づかなかった「変な癖」「身振り手振り」「話の流れ」「声量や滑舌」を修正するキッカケになるかもしれない。
さらに、もっとも究極のプレゼン改善方法はこれだ。「自分撮り」である。誰もが、自分のプレゼンなんて見たくないと思っているに違いない。しかし、他人に指摘されるよりも「自分撮り」したビデオをレビューするほど、有効なプレゼン改善法はない。
わたしの会社では「QuickWebSeminar」というリアルセミナーを撮影・編集しオンライン配信するサービスを行っているが、クライアントの多くは自分自身のしゃべっているのを見て、「俺はこんな感じでしゃべっているのか……」と、セミナーの提案内容以上に、自分の語り口が気になるようである。
逆に言えば、これまで気づかなかった自分の癖やジェスチャー、視線、声の抑揚など改善すべき点に山ほど気づいてしまうのだ。
また、ある私立の高校ではベテラン教師の授業の進め方に問題があった。そこで、責任者が問題点を本人に投げかけたが、耳を傾けてくれなかったという。
そこで、ベテラン教師の授業をすべてビデオ撮影し、後で本人に見せたという。本人はそれを見てがく然とし、「わたしの授業の進め方はなっていない」と自分で気づいた。以来、その学校ではすべての教師が自分自身の授業をビデオでレビューし、改善しているそうだ。
こうした「自分撮り」に関する効果は絶大だ。しかし、ビデオで撮影するのも手間である。コストもかけたくない。そんなときには「Ustream」が便利だ。
Ustreamは、YouTubeのような録画したビデオを配信するのではなく、PCにつながったWebカメラなどのライブ映像を生中継してくれるWebサービスだ。他人にカメラ撮影をたのまなくても、自分の部屋でWebカメラでプレゼンの様子を収録し、自分で「映像としてチェック」できる。
「もうちょっとこんな感じでしゃべってはどうだろうか?」と試行錯誤しながら、その見栄えを「視聴者の視点」で同時にチェックできるので、プレゼン改善に効果的だと思う。もちろん、ライブチェックのみならず、録画して、後から振り返れる。
「自分の映像」を見るのは、勇気のいることだ。しかし、その勇気ある一歩を踏み出した人は、確実にプレゼンが改善する。あなたも、その一歩を踏み出してはいかがだろうか?
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。
連絡先: nagata@showcase-tv.com
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