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あの取次最大手、本業赤字転落が激震!出版業界、ついに本格的崩壊開始の予兆

文=佐伯雄大
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あの取次最大手、本業赤字転落が激震!出版業界、ついに本格的崩壊開始の予兆の画像1日本出版販売本社(「Wikipedia」より/Koh-etsu)
「なんじゃ、こりゃあ」

 刑事ドラマの名作『太陽にほえろ!』のジーパン刑事こと、故松田優作ばりの叫び声を思わずあげてしまったのは、11月25日、出版卸業(取次)最大手の日本出版販売(日販)が2015年上半期中間決算(4~9月)を発表した日の夜だった。

 筆者がその夜、目にしたのは、日販の「事業別損益内訳」という表で、そこには同社単体の上半期業績の数字が並べられていた。

・売上高:2399億1800万円(前年比171億5200万円減)
・営業損益:3億300万円の赤字(同4億4800万円減)
・経常損益:1億3300万円の赤字(同4億6400万円減)

 なんと、日販の本業である「出版取次事業」が営業損益ベースで赤字になっていたのだ。しかも、本業が赤字になったのは、どうやら初めてというのだ。

 2000年に京都の老舗書店・駸々堂書店の自己破産時に、創業以来初の最終赤字の決算(00年3月期)となったが、そのときですら営業損益ベースは黒字だった。というのも当然で、当時は出版取次業で得た利益を、取引先の倒産による膨大な特別損失が上回ったことによる赤字だった。ただ、不良債権化した書店などの取引先や業績の悪い関連会社の始末に追われていたのも事実で、日販の財務体質が2大取次のもう一方の雄・トーハンよりも脆弱になったのは、その処理に不動産等の「資金」を投入したためともいわれている。

 日販の15年上半期の業績が厳しいものになると聞いてはいたが、まさか赤字とはわが目を疑った。業界紙や同社ホームページで発表された単体の決算は以下のとおりで、決して誉められた数字ではないが、見事黒字になっているからだ。

・売上高:2431億2300万円(対前年比171億6700万円減)
・営業利益:2億8600万円(同3億2500万円減)
・経常利益:7億5000万円(同2億8500万円減)

 前述した事業別損益内訳との乖離が生じている理由は、出版取次事業と「その他(不動産・PPT他)」事業を合算すると、上記のように黒字になるためだ。ちなみに「その他」の業績は以下のとおり。

・売上高:32億400万円(対前年比1500万円減)
・営業利益:5億8900万円(同1億2300万円減)
・経常利益:8億8400万円(同1億7800万円減)

 不動産等のその他事業の売り上げは、本業の1.3%にしかすぎない。たまたま今回は黒字になっただけだろう。

出版流通の危機的状況

 中堅老舗出版社の取締役は語る。

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