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顧客が本当に必要だったもの

2012/02/06

経緯

「特許庁」システムの失敗が世間をにぎわしているが、そもそも大プロジェクトは失敗が多い。 数年前まで対岸の火事と笑いごととして考えていた。しかし、ここ2,3年、実際に大規模プロジェクトに携わってしまうと笑えないことが多い。ここで、あらためて、自戒の意味を込めて「顧客が本当に必要だったもの」の画像を肝に銘じておきたいと思った。

「顧客が本当に必要だったもの」

顧客が本当に必要だったもの

※下記は自分なりの画像解釈です。

【顧客が説明した要件】木にぶら下がった遊べるものがほしい。(曖昧かつズレがそもそもあって)
【プロジェクトリーダの理解】これで遊べるよね。(大まかな理解はしていたけど)
【アナリストのデザイン】もうちょい先進的なので行きましょう。頑張ればできます。(無理な実装の検討しちゃって)
【プログラマのコード】ちょ、こんなんでどうすか? 動作は未確認です。(スキル不足の現実を感じ)
【営業の表現、約束】こんな豪華で柔らかな腰掛はありませんよ。(過大評価し、虚で固めて)
【プロジェクトの書類】何もない。(セイカブツ、なにそれ、オイシイノ?)
【実装された運用】まわらない。(ま、最後は人力ですよね)
【顧客への請求金額】請求金額まじパナイ。(え、文言かえるのも金必要ですよ)
【得られたサポート】いろいろ足りない。(で、どうすれば運用できるの?)
【顧客が本当に必要だった物】要件からズレてたよね。(あ~そういうのが良かったんだ)

所感

顧客が本当に必要としているものは、はじめは誰にも見えていない。 顧客の要件も、プロジェクトリーダの理解もはじめから疑ったほうがいい。 まずは決められたコスト内でスキルにあった実装を行い、最低限のシステムをサポートしながら運用していくしかない。

そのうち顧客が本当に必要だった物に気が付くだろう。 その後は理解を含めたプロジェクトリーダが技術を得たプログラマを率いて、真の姿を実現していくしかない。 限られたお金と時間のなかで、限られたシステム化の範囲で実現していくしかない。

営業の虚構やアナリストの妄想は必要ない。顧客に夢を見せてはいけない。夢は現実を知ってからだ。

夢は未来にならない。未来につながるのは現実のみ。

結論

顧客と開発側も存在しないものを制御できるはずがない。 まずは制御できるものを動かして、徐々に成長していくしかない。

最初から二本足で歩ける赤ちゃんなんていない。システムも最初はサポートなしでは歩けない。

システム開発は手のかかる子育てと同じようなもの。

親も子も育っていくしかない。未来はみんなで作っていくのみ。

2012/02/06
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