インタビュー:日本株を大いに悲観=松井証券社長

今でもたまに投資・マネー関連の取材とか受けることがある。そのたびに時事ネタについてコメントを求められたりする。早稲田の投資グループの奴らが六本木ヒルズに住んでいたらしいけど、堀江さんどうですか?とか、言われても正直コメントのしようがない。

報道などによれば、ヒルズレジデンスに住んでいると株の情報が手に入るとか言っていたそうだが、どこでそんな情報手に入れるんだ?すれ違っても知らない人と立ち話をすることはありえない。住人だけが参加できる秘密のパーティとかそういうのがあるはずもない。勿論友達同士で会うことはあるが、そもそも同じマンションで顔見知りというと数人だ。良く見かける人というのもいるが、特に話をしたことは無い。

と、余談になってしまったが、松井証券の社長の記事が出てた。最近あんまり証券業界のニュースに詳しくないのでこの人も久々にみたな、という感じだったのだが、

「このままでは東証の売買代金が1兆円を継続的に下回るような状態になるとも懸念を示した」らしいが、そもそも東証そのものが終わっている感じもする。ライブドアショックくらいで止まってしまうようなシステムは相変わらずしょぼいままなのだろうか?皮肉な事にあの強制捜査の2,3ヶ月前東証幹部に会って、今のままだとシステムが追いつかないくらい取引量を増やしますからシステムを大幅に増強したほうがいいですよと言ったことがある。もちろん、強制捜査でというわけではなく、個人投資家を増やし個別株の投資単位の引き下げに注力しますよ、という意味でだ。

東証幹部は、何生意気なこと言ってんだコイツ的な目で見ていたような気がするが、案の定想定外のトラブルではあったものの止まってしまっていた。しかも取引時間を1日1時間とかに制限しやがった。システム屋としては最悪の対応だろう。もうあれから3年以上経つが相変わらず古いまんまのようであるな。FXの相対取引のほうがシステムのキャパと柔軟性でも東証よりも随分よくなっているのではないか?

日本株の将来性については、 「大いに悲観的だ。その理由は、流動性がどんどん細っていることにある。流動性を生んでいるのは、個人投資家と外国人投資家。個人の大半はデイトレーダー。月間100回以上約定する人をデイトレーダーと定義しよう。個人投資家の6─7割は彼らの流動性からきているが、個人の取引は枯れている」

言っていることはその通りだ。デイトレーダーに対して投機だとかギャンブルだとか非難するやつらがいるが、彼らの機能として流動性を作り上げていることは評価せねばなるまい。売りたいときに売れる、買いたいときに買えるというのが一番大事なわけだ。そういう意味でデイトレーダーには立派な役割があるのである。デイトレーダーを増やしたという意味で松井証券の功績は大きいし、私も前職時代微力ながら、ライブドア証券を立ち上げて個人投資家を増やす努力をしてきた。

しかし、だ。
私はさらに流動性と個人投資家の利便性向上のために株式の100分割を実行した。

ライブドア・ショックと株式分割

その時に彼が言ったとされる言葉が私は信じられない。「地獄に落ちろ」だ。
個人投資家に本当の意味でポートフォリオを組んで分散投資をさせるためには、株式の1投資単位の引き下げが必要なのはいうまでもない。当時と違い今は株券の電子化も実行された。今や株式そのものの取引コストは0円に限りなく近づいてきている。だから投資単位が数百円になっても十分採算も取れるし、そうなれば資金が数十万円しかない人だって、複数銘柄を複数単位買って分散投資が出来る。
そうやってポートフォリオを組んでこそ、腰をすえた長期投資ができるというものだ。

そういう個人はこれまで、投資信託を買えといわれてきた。これは証券業界の驕りだ。貧乏人は株を買うなと言われているようなもんだ。

松井氏にはちょうど100分割の直前に自社株の公募増資の幹事引受のお願いに行った時に初めて兜町のオフィスで会った。その時は自分の兄弟だかが消防関係の役所にいて、東京に地震がもうすぐ来るといっているからもっと丈夫なビルに移転するんだとかいう他愛のない話をして別れたが、その後ライブドア証券の参入やらなんやらで何か気に入らないことをしたのか?と勝手に思っていた。

ともかくも、ネット証券の風雲児と言われた男が「地獄に落ちろ」などというのは、どうにも解せない。証券業界の古い垢に彼もまみれてしまっていたのか?自社株を過半数持っていることに対して「上場している企業として私が過半数の株を握っているのは、決して誇れることではない。しかし、いろんな人に持ってもらうチャンスがなかっただけだ。いずれ、もしかすると持ってもらうかもしれない。でもそれをどこかの銀行に持たせることはない」ということらしいが、正直言って過半数持っているというのは正解だ。

誇れることではないといいながら、持ち続ける。手放したくない証拠だ。手放さないほうがいい。私は手放して会社の業績を上げることに邁進したがゆえに会社を追放されている。

ともかくも、今は個人投資家はFXなどより投機性の高い取引に流れていっている。システムの安定性、基本的に通貨なのでストップ高・ストップ安がない青天井なので必ず約定するという意味での流動性、規制は掛かる方向とはいえ高いレバレッジにより小さい資金でも取引が出来る。。。全ての面において、証券はFXに負けている。為替の大きな変動で負けている個人が山ほどいるのにFX会社は相変わらず隆盛を誇っている。。。。

しかし、FXは通貨に流動性を持たせる貢献をしているかといえばそうではない。ほとんどの取引が相対であり、バックで外銀などがカバーしているが、その割合は少ない。資本市場に資金供給をする役割も無い。そういう意味では、社会的意義はゼロに近いだろう。だからこそ、だ。証券業界は例えば分かりにくいし、使いにくい信用取引の仕組みの改善に努めなければならないし、株式の売買単位の大幅な引き下げも必要である。

さらに、もう東証は自主規制法人だけ残してあとは解散してしまったらどうか。
あの、しょぼいどうしようもないシステムは捨ててしまえ。
んで、証券会社のPTSに全面移行してしまえばいい。んで売買審査は東証の自主規制法人に委託すればよい。
そしたら、FX業者みたいに柔軟性の高いシステム構築が出来る気がする。4年前の情報しかしらないが、たしか売買量も取引所の何分の一とか規制がかかっていた気がするので、それも撤廃しないと。。
売買単位の大幅な引き下げは必須だけど。。。。

ライブドア証券のPTSもオープン直前に潰されてしまったし、なんだか証券業界みたいなふるいところで新しいことをやろうとすると目の敵にされるので、もう面倒くさいのでやりませんけど。日本の古い証券業界の象徴である東証と共に日本の証券業界は衰退の一途を辿っていくのでしょう。まあ宿命ですがな。



さて、コアな農業漫画?として人気らしい「もやしもん」ですが、最近の連載では食料自給率について取り上げているようです。わりとまともな事言っていますが、単行本になるのはもうちっと先でしょう。しかし、漫画雑誌も読まれなくなっているなあ。。。今後どうなっていくのだろうか。漫画流通についても少し考えたいなと思いましたよ。

関連エントリ:

食料自給率について気になりすぎて書く。

食料自給率のコメント面白い。