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2014/01/23 00:00

配信サイトだけど言っちゃいます!! SAKEROCKのベストはCDで買え!!

星野源、伊藤大地、浜野謙太からなるバンド、SAKEROCKが、初のベスト・アルバムをリリース!! エキゾチックでどの音楽とも似つかない素晴らしい楽曲とユニークなライヴで、シーンで特別な存在感を示してきた彼ら。アルバム・ジャケットに書かれた「季節」という言葉が象徴するように、2000〜2013年の季節を通し発表してきた楽曲から、厳選された全32曲が収録されています。もちろん、OTOTOYでもハイレゾ配信!! といきたいところですが、今回は配信自体ありません!! 配信サイトなのに? ごめんなさい。「モノとしてCDを手に取って聴いてほしい!!」というSAKEROCKメンバーの気持ちに負けました。でも、我々はSAKEROCKの音楽が好きだし、多くの人たちに知ってほしい。そこで本作の発売を記念し、過去作の全作レビューとともに大特集!! そして、音楽配信サイトだけど、言ってしまいます。本作はCDで聴けっ!! 僕たちの熱い気持ちを、お客さんに、そしてSAKEROCKに届けたいと思います。これまでを振り返り、これからの未来を一緒に追いかけていくために、ぜひCDのお供としてご覧ください。

>>SAKEROCK オリジナル・アルバム 完全ディスコグラフィーはこちら


SAKEROCK / SAKEROCKの季節 BEST 2000-2013

【発売日】
2014年1月22日(水)
(※CDでお楽しみください)

【価格】
初回限定盤(DVD付き3枚組) 3,600円(税込)
通常盤(CD2枚組) 3,000円(税込)
【DISC1 2003 - 2013】
01. 慰安旅行 (DEMO Ver.) / 02. モズレア / 03. OTOOTOOTO-SAN / 04. 慰安旅行 / 05. 穴を掘る / 06. 生活 / 07. Old Old York / 08. 殺すな / 09. エンディング / 10. インストバンドの唄 / 11. ラディカル・ホリデー / 12. インストバンド / 13. 進化 / 14. おじいさん先生 / 15. 会社員 / 16. 今の私 / 17. ホニャララ / 18. MUDA / 19. 8.16 / 20. Emerald Music

【DISC2 other & cover】
01. 間仲間 / 02. Matakitene / 03. いかれたBaby / 04. 七拍酒 / 05. PomPom蒸気 / 06. YAWARAKA-REGENT / 07. エイトメロディーズ / 08. スーダラ節 / 09. 日本の人 / 10. 千のナイフと妖怪道中記 / 11. 七七日 / 12. Rosenkranz

【DISC3 DVD Music Video】(初回限定盤のみ)
01. 殺すな / 02. インストバンド / 03. 会社員 /04. 今の私 / 05. ホニャララ / 06. MUDA / 07. Emerald Music

REVIEW「どこの誰でも体験しうる“ある季節”のための音楽」(text by 佐藤優太)

「ロックでなければなんでもいい」。 70年代末の英国においてポストパンク・シーンの切っ先となったバンド、ワイアーのメンバーが言ったとされる言葉。もちろん、85年生まれの筆者は伝聞で聞いただけ。その真意を知るよしもない。cero、ミツメ、片想い、alfred beach sandal、スカート、失敗しない生き方、カメラ=万年筆… エトセトラエトセトラエトセトラ。音楽家、イベンター、ベニュー、そしてオーディエンスが入り交じって互いに刺激を与え合い、活況を呈している現在の“東京ニューポップ・シーン”。そこに集う様々なバンドやミュージシャンの音楽を聴いているとき、冒頭の言葉が頭をよぎることがある。その真意を知るよしもない。そんな言葉を引っぱってきて、いきなり現代の東京の若者たちのスタンスと重ね合わせようというのは、我ながらちょいと無理があるとは思うが、フォーク、カントリー、ボッサ、ジャズ、エキゾ、アフロ、ディスコ、J-POPなど、こちらもエトセトラエトセトラエトセトラ。ストレートなギターロックのスタイルを離れ、数多の“ロック以外”の音楽からアイデアや着想を得て、モダンでユニークな作品を生み出し続けている若いバンドたち、それを自然に受け入れて楽しんでいるお客さんたちの姿を見ると、ふとそんな言葉が浮かんでくることがあるのだ(あ、シャムキャッツと昆虫キッズだけは例外)。もっと言えば、そうした言葉に象徴され得る、意欲的で折衷的なムードこそ今の東京のシーンの最大の魅力だと思う。

左から、田中馨、星野源、浜野謙太、伊藤大地(2011年)

『SAKEROCKの季節』と題されたこのベスト盤を何度か聴いて、あるいは、それをきっかけにメンバーの過去のインタヴューを読み直して改めて思ったことがある。SAKEROCKとその作品こそがいま東京に鳴らされている折衷的ポップスの先駆けであり、そうしたシーンのムードそのものを醸成をも進めた最大の功労者だったのではないかということだ。若さに見合わない深い造詣に裏打ちされた、ユニークでしっかりとしたポップ史観という地図を片手に、音楽におけるユーモアの権化たるクレイジーキャッツという巨星に遠くから憧れ、マーティン・デニーから細野晴臣のトロピカル3部作をつらぬくエキゾ・ホットラインの延長線を踏んだり跨いだりしながら、eastern youthやサニーデイサービスなどの同時代的なバンドたちから、現代的なポップスとして、歴史を縦断するインスピレーションを聴かせるメロディやアレンジの感性を受けつつ… と、それこそ挙げて行けばキリがないほど多くの音楽からの影響を昇華しながら、しかし、そうであるがゆえにどうにもサケロック・オリジナルとしか呼べないもの。このベスト・アルバムに2枚組に収められた32曲を含め、彼らが作り出してきたのはそういう音楽だ。

(2008年)

実際、2008年のアルバム『ホニャララ』のブックレットに収録された対談記事おいて、リーダーの星野源はサケロックをはじめた当初の様子を次のように振り返っている。

「やりたくないことはいっぱいあったんですよ。『ああなりたくない』とか。だからそれ以外のことをとりあえずやってみて、やってることが既存の何かに似てきたらすぐやめて、違うことをやるっていう風に路線変更したんです」

あるいは2010年の『MUDA』のリリース時のインタヴューではこうも言っている。

「僕はばっちりAIR JAM世代で、メロコアとかハードコアパンクとか当時はやっていたものが大好きだったんですけど、でも周りにそういうバンドばっかりだったんですね。だから好きだけどやれなかった。パンクばっかりのところでパンクやってもそれはパンクじゃないだろうと思って」

「ロックでなければ」とも「なんでもいい」とも言ってはいないものの、所謂ストレートなロックのスタイルをあえて避け、自分たちの音楽を模索してきたその姿勢は、まさに先のワイアーの言葉にも通じる“あまのじゃく”そのものであり、同時に現在の東京のバンドたちに通じるものでもある。その音楽は、90年代以来の最大の実りの季節を迎えようとしていると言われる現在のシーンに鳴らされる数多のインディ・ポップ・ミュージックの、偉大なプロトタイプとして聴かれるべきものだ。

ただ、どうにも困ったことに、そもそも彼らの音楽はこうした権威ぶった言葉をするりとかわすような、ゆるりとやり過ごすような、ハナから笑い飛ばすような、本当にしなやかでパワフルなものなのだ(いや、困っているのは僕だけだし、僕だって困り顔で結局は踊り飛ばすのだけど)。それは歳のわりに成熟した技術と知識とセンスを兼ね揃えた恐るべき子供たち、もとい恐るべきお兄さんたちの音楽でありながら、若さゆえのそこはかとないセンチメントや闇雲な怒りも抱え、しかしそれらをひっくるめて穏やかに笑い飛ばそうという見栄と知恵がある。若さと呼ばれるものの本質を見事に捉えた、本作のジャケットに写り込む青々した芝生のようにエバーグリーンな作品だ。旧メンバーも含めた5人がお揃いの白いスーツで描かれ、顔の部分がくり抜かれた書き割のアートワークも、『SAKEROCKの季節』なんてどストレートなタイトルも、これまで珍妙なハズしを楽しんできた彼らにしては、いささか感傷的過ぎると思うかも知れない。しかし、それはバンド・メンバー自身やスタッフはもちろんのこと、オーディエンスとも彼らの過ごして来た季節への祝福を分かちたいという、バンドの気持ちの表れなのだろう。どこの誰でも体験しうる“ある季節”のための音楽に、惜しみない祝福を。(text by 佐藤優太)

>>SAKEROCK オリジナル・アルバム 完全ディスコグラフィーはこちら

PROFILE

SAKEROCK

2000年に結成され、エキゾチックでどの音楽とも似つかない素晴らしい楽曲とユニークなライヴで一躍シーンの特別な存在として注目を浴びたSAKEROCK。メンバーは星野源、伊藤大地、浜野謙太。これまで4枚のオリジナル・アルバムとミニ・アルバム、オリジナル・サウンド・トラックなどを多数リリース。DVD作品は5枚を数え、映像作品の評価も非常に高い。FUJUROCKなど野外フェスなどにも多数出演している。近々のライヴではサポート・メンバーを6人加えた豪華セットによる豊穣なアレンジを披露。メンバーの星野源はソロでも俳優でも大活躍であるのはご存知の通り。伊藤大地も細野晴臣をはじめ多くのミュージシャンのサポート・ドラマーとして引く手数多。浜野謙太も在日ファンクや俳優としても活躍中。

>>SAKEROCK official web

この記事の筆者

[インタヴュー] SAKEROCK

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